第8章 計画の評価 1 評価スケジュール 第3期計画は、令和6年度(2024年度)から令和17年度(2035年度)までの12年間を計画期間としたものですが、効果的に取組を進めるため、令和11年度(2029年度)に中間評価を行い、計画の進捗状況を確認し、把握された課題を踏まえ計画後半の取組を強化します。計画最終年度の前年度である令和16年度(2034年度)には計画の最終評価を行い、次期計画の策定に生かします。 なお、計画の中間評価、最終評価及び次期計画策定等にあたっては、健康横浜21推進会議の下部組織として評価及び策定を専門に担う検討部会を設置し、検討を進めます。 評価スケジュール 計画1年目の令和6年度(2024年度)まで、策定時値の把握 計画5年目の令和10年度(2028年度)、中間評価に向けたデータ収集 計画6年目の令和11年度(2029年度)、中間評価 計画10年目の令和15年度(2033年度)、最終評価に向けたデータ収集 計画11年目の令和16年度(2034年度)、最終評価 計画12年目の令和17年度(2035年度)、次期計画策定 2 評価項目と指標設定の考え方 (1)成果指標の種類 データを重視した政策立案を進めるため、EBPM(根拠に基づく政策形成)の考え方を踏まえ、行政及び関係機関・団体の取組状況(アウトプット)を取りまとめるとともに、あらかじめ設定した成果(アウトカム)指標により、計画の進捗を評価します。 成果指標は、直接成果指標、中間成果指標、最終成果指標の3つに分類しています。 直接成果指標は取組による直接的な効果と考えられるもの、中間成果指標は複数の直接成果によって得られると考える「主要な健康課題」(1章5及び2章5を参照)の改善状況に関するもの、最終成果指標は健康寿命に関するものとします。 各指標の設定にあたっては、最終評価まで安定して確実に収集できる数値であることや、健康日本21(第三次)における指標として採用されていることなどを考慮しています。   (2)直接成果指標 直接成果指標については、取組による直接的な効果と考えられるものとして、市民の行動目標や環境づくりの目標ごとに設定した指標の変化を確認します(具体的な指標は、3章及び4章に記載)。 過去のデータの有無や指標の性質等に応じて、目標値の設定方法を選定したうえで、最終評価に向けたデータ収集を行う前年にあたる令和14年(2032年)を主に目途とした目標値を算出しています。 目標値の設定方法については、健康日本21(第三次)等の目標値を重視することと、本市独自の指標については、令和6年(2024年)の策定時値を予測し、最終評価時にはその値が相対的に5%以上改善することを基本的な考え方としています。 <直接評価指標の目標値の設定方法と説明> ・国等と同値:国・県・本市等で策定した関連する計画・指針・ガイドライン等の目標値に合わせる。 ・a:2年分以上データあり改善傾向:過去のデータが2年分以上あり改善傾向にある場合は、最終評価時までの延びを予測したうえで、少なくとも、策定時値から相対的に5%よりも大きく改善することを見込んだ値を目標値に設定する。 ・b:2年分以上データあり悪化傾向:過去のデータが2年分以上あり悪化傾向にある場合は、策定時値から相対的に5%以上改善することを見込んだ値を目標値に設定する。ただし、取組を行うことによって現状維持を目指すことが妥当と考える場合は、直近値と同値を目標値に設定する。 ・c:1年分のみデータあり:過去1年分のデータを策定時値と仮定して、相対的に5%以上改善することを見込んだ値を目標値に設定する。 ・d:100%か0%を目指すべき:法律や倫理的に100%又は0%を目標値とすべきと判断する場合は、設定方法a~cによる検討が可能であっても、その判断を優先する。 ・e:データがない:過去のデータがない場合は、国や県等の値を参考に目標値を設定する。参考になる値がない場合は、目標値は「今後検討」としておく。今後、収集できたデータを策定時値として、設定方法cにより目標値を検討する。 ※指標ごとに選択した「目標値の設定方法」は、別頁「指標・目標値 一覧表」に記載   (3)中間成果指標 中間成果指標については、「主要な健康課題」の改善状況を確認します。 複数の直接成果によって得られると考えられるうえ、第3期計画の取組以外の社会全体の多様な要因で変動する可能性も大きい指標であることから、目標値は設定せず、増加又は減少といった目標の方向のみの設定とします。 <主要な健康課題の中間成果指標、直近値、目標> ①生活習慣病による早世の減少  中間成果指標:心血管疾患、がん、糖尿病、慢性の呼吸器系疾患に関する若年(30~69歳)年齢調整死亡率(人口10万対)  直近値:全体207.4、男性270.4、女性143.4、(令和3年(2021)年)  目標:減少 ②男性の肥満や脂質異常症の改善  中間成果指標:男性のメタボリックシンドローム判定の割合(%)  直近値:31.4 (令和3年(2021年))  目標:減少  中間成果指標:男性のBMIの平均値(kg/m2)  直近値:24.3 (令和2年(2020年))  目標:減少  中間成果指標:男性のLDLコレステロールの平均値(mg/dl)  直近値:127.5 (令和2年(2020年))  目標:減少  中間成果指標:男性のLDLコレステロールの要保健指導判定値(120以上)の人の割合(%)  直近値:58.7 (令和2年(2020年))  目標:減少 ③女性の乳がんの死亡率の減少  中間成果指標:女性の乳がんの75歳未満年齢調整死亡率(人口10万対)  直近値:17.3 (令和3年(2021年))  目標:減少  中間成果指標:女性の乳がんの標準化死亡比  直近値:1.168 (平成28年から令和2年(2016年から2020年))  目標:減少 ④糖尿病の重症化の予防  中間成果指標:ヘモグロビンエーワンシー8.0%以上の人の割合(%)  直近値:1.25 (令和2年(2020年))  目標:減少 ⑤喫煙・受動喫煙の減少  中間成果指標:COPD(慢性閉塞性肺疾患)の年齢調整死亡率(人口10万対)  直近値:10.5 (令和3年(2021年))  目標:減少 ⑥歯周炎の予防と改善  中間成果指標:40歳以上における歯周炎を有する者の割合(%)  直近値:65.3 (令和2年(2020年))  目標:減少 ⑦腰痛症の予防と改善  中間成果指標:腰痛症で通院中の人の割合(%)  直近値:今後把握  目標:減少 ⑧骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少  中間成果指標:骨折・転倒が主な原因で介護保険要支援となった人の割合(%)  直近値:19.7 (令和4年(2022年))  目標:減少 ⑨高齢期の不慮の事故による死亡率の減少  中間成果指標:不慮の溺死及び溺水の年齢調整死亡率(人口10万対)  直近値:12.2 (令和3年(2021年))  目標:減少  中間成果指標:収縮期血圧が受診勧奨値(140以上)の高齢期等(60~74歳)の人の割合(%)  直近値:24.6 (令和2年(2020年))  目標:減少 ⑩成人期・壮年期のメンタルヘルスの向上  中間成果指標:心理的苦痛を感じている人の割合  直近値:全体16.9%、20~39歳男性28.0%、20~39歳女性24.2%、40~64歳男性15.0%、40~64歳女性 17.2% (令和4年(2022年))  目標:減少 (4)実施した取組と見込まれる成果との関係(直接成果と中間成果との関係) 計画の評価に際し、実施した取組と確認された成果との連動が確認できるよう、第3期計画に位置付けられた取組領域・取組テーマにおいて取組を推進し、直接成果が得られたと仮定した場合に、どの中間成果の改善が見込まれるのかを想定しています。 取組と成果との論理構造(ロジックモデル)を整理しておき、取組の効果を考察する際に用いていきます。 <各取組領域・取組テーマにおける取組と見込まれる成果との関係> 取組を推進し、直接成果が得られたと仮定した場合に、改善が見込まれる中間成果 ①生活習慣の改善に向けた取組 ・栄養・食生活  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、糖尿病の重症化の予防、骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:女性の乳がん死亡率の減少 ・歯・口腔  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:糖尿病の重症化の予防、歯周炎の予防と改善  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:喫煙・受動喫煙の減少 ・喫煙  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:糖尿病の重症化の予防、喫煙・受動喫煙の減少、歯周炎の予防と改善、骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少、成人期・壮年期のメンタルヘルスの向上  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:女性の乳がん死亡率の減少 ・飲酒  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、女性の乳がん死亡率の減少、糖尿病の重症化予防、骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少、成人期・壮年期のメンタルヘルスの向上 ・運動  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、糖尿病の重症化の予防、腰痛症の予防と改善、骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少、成人期・壮年期のメンタルヘルスの向上  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:女性の乳がん死亡率の減少 ・休養・こころ  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、糖尿病の重症化の予防、成人期・壮年期のメンタルヘルスの向上 ・暮らしの備え  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:腰痛症の予防と改善、骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少、高齢期の不慮の事故による死亡率の減少  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:糖尿病の重症化の予防 ②生活習慣病の発症予防や重症化予防の取組 ・健康診査  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、喫煙・受動喫煙の減少  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:糖尿病の重症化の予防 ・がん検診  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:女性の乳がん死亡率の減少 ・歯科健診  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:喫煙・受動喫煙の減少、歯周炎の予防と改善  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:糖尿病の重症化予防 ・糖尿病等の疾患  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、糖尿病の重症化の予防、喫煙・受動喫煙の減少、歯周炎の予防と改善、高齢期の不慮の事故による死亡率の減少 ③健康に望ましい行動を取りやすくする環境づくり ・食環境づくり  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、糖尿病の重症化の予防、骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:女性の乳がん死亡率の減少 ・給食施設の栄養管理  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:2男性の肥満や脂質異常症の改善、4糖尿病の重症化の予防、8骨折・転倒により介護が必要な状態となることの減少  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:3女性の乳がん死亡率の減少 ・受動喫煙防止対策  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:4糖尿病の重症化予防、5喫煙・受動喫煙の減少  エビデンスや見解から、取組は有効の可能性はあるが、確率されてはいない。:3女性の乳がん死亡率の減少 ・職場における健康づくり  取組が有効というエビデンス(根拠)がある。又は見解が広く一致している。:男性の肥満や脂質異常症の改善、女性の乳がん死亡率の減少、糖尿病の重症化の予防、喫煙・受動喫煙の減少、歯周炎の予防と改善、腰痛症の予防と改善、成人期・壮年期のメンタルヘルスの向上 男性の肥満や脂質異常症の改善、女性の乳がん死亡率の減少、糖尿病の重症化の予防、喫煙・受動喫煙の減少は、生活習慣病による早世につながる。 全ての中間成果は、最終成果である健康寿命の延伸につながる。 (5)最終成果指標 最終成果指標としては、基本目標である健康寿命そのものの延びを確認します。 平成31年(2019年)3月に国が策定した「健康寿命延伸プラン」では、令和22年(2040年)までに男女共に平成28年(2016年)比で3年以上延伸し、75 年以上とすることを目指しています。具体的には、全国値で男性75.14年以上、女性77.79年以上となっています。 本市において同じ考え方を適用して、最終評価に用いる予定である令和13年(2031年)の健康寿命を算出すると、男性は令和元年(2019年)からの12年間で1.10年延伸する73.70年、女性は1.41年延伸する76.42年となります(本市が厚労省研究班「健康寿命算定プログラム」を用いて算出した値を利用予定)。この値を目標値として設定します。 男性の健康寿命の推移 平成22年(2010年):70.93 平成25年(2013年):71.14 平成28年(2016年):71.52 令和元年(2019年):72.60 女性の健康寿命の推移 平成22年(2010年):74.14 平成25年(2013年):75.30 平成28年(2016年):74.48 令和元年(2019年):75.01 さらに、複数の補完的指標(平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加、自分が健康であると自覚している期間の平均、日常生活動作が自立している期間の平均)を設定します。 基本目標:健康寿命の延伸 最終成果指標:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間の平均(年) 直近値:男性72.60、女性75.01(令和元年(2019年)) 目標値:男性73.70以上、女性76.42以上(令和13年(2031年)) 補完的指標 ・平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加(年) 直近値:男性 -0.07、女性 -0.13(令和元年(2019年)) 目標値:男性0.01以上、女性0.01以上(令和13年(2031年)) ・自分が健康であると自覚している期間の平均(年) 直近値:男性73.70、女性76.03(令和元年(2019年)) 目標:増加 ・日常生活動作が自立している期間の平均(介護保険データによる平均自立期間)(年) 直近値:男性80.25、女性84.16(令和3年(2021年)) 目標:増加 3 指標・目標値一覧  最終成果1種類、中間成果10種類、直接成果25種類(市民の行動目標に関するもの20種類、環境づくりの目標に関するもの5種類)の指標及び目標値(目標)を一覧表に示します。