第7章 計画の推進 1 計画の推進体制 (1)健康横浜21推進会議 誰もが健やかな生活を送ることができる都市を目指すには、市民、関係機関・団体、行政の協力が重要です。そこで、市民一人ひとりの健康づくりを支える関係機関・団体と行政がそれぞれの役割に応じて、健康づくりの推進に努め、相互に連携し、企画・検討・評価を行う場として、平成19年度から「健康横浜21推進会議」を設置しています。 第2期計画では、関係機関・団体及び行政が、市民の行動目標に向けた取組を計画的に実施し、お互いに情報共有しながら、市民の健康づくりの推進に取り組んできました。 第3期計画においても、同会議を継続し、取組の推進につなげていきます。 (2)検討部会 横浜市健康増進計画、歯科口腔保健推進計画、食育推進計画の一定的な策定に向け、健康横浜21推進会議の部会として設置した歯科口腔保健推進検討部会及び食育推進検討部会にて検討を進めてきました。引き続き、両検討部会を継続し、歯科口腔保健や食育の推進に取り組みます。 また、専門的な見地から検討を進めるため、取組テーマに関する部会を適宜設置し、第3期計画を推進していきます。 ア 歯科口腔保健推進検討部会 歯科口腔保健の推進に関する事項の検討を進めます。 イ 食育推進検討部会 食育推進計画や食育推進に関する事項の検討を進めます。 ウ その他の検討部会 必要に応じて、特定の取組テーマ等に関する検討部会を設置し、検討を進めます。 (3)健康横浜21庁内連絡会議 市民の健康づくりに関連する施策を担う庁内関係部署との連携を図るため、健康横浜21に関する庁内連絡会議を開催し、区局・局間の組織的な連携を図ってきました。子どもから高齢者までのライフステージ別の健康や、地域・保健・医療・福祉に関わる部署に加え、道路・自転車・住宅・スポーツ・公園・農業などに関する部署との連携も重視し、第3期計画においても、同会議を行っていきます。 2 関係機関・団体及び行政の役割 (1)関係機関・団体の役割 健康づくりに取り組む市民を増やすために、ライフステージや取り巻く環境を踏まえて、行政と地域・職域の関係機関・団体との協働や、民間事業者・大学等との連携による共創等を通じた取組を行っていきます。 令和5年7月現在の健康横浜21推進会議を構成する関係機関・団体です。 ・横浜市PTA連絡協議会 ・神奈川産業保健総合支援センター ・横浜南労働基準監督署 ・日本チェーンストア協会 相鉄ローゼン株式会社 ・JA横浜 ・一般社団法人 横浜市食品衛生協会 ・横浜市保健活動推進員会 ・横浜市食生活等改善推進員協議会 ・株式会社神奈川新聞社 ・株式会社テレビ神奈川 ・一般社団法人 横浜市医師会 ・一般社団法人 横浜市歯科医師会 ・一般社団法人 横浜市薬剤師会 ・公益社団法人 神奈川県栄養士会 ・公益財団法人 横浜市スポーツ協会 ・禁煙・受動喫煙防止活動を推進する神奈川会議 ・全国健康保険協会神奈川支部 ・神奈川県国民健康保険団体連合会 ・健康保険組合連合会神奈川連合会 ア 学校・学校関係団体 学校は、学童期、青年期における主たる生活の場であることから、生涯にわたる望ましい生活習慣を身につける上で、重要な役割を担っています。学校には家庭や地域と連携し、健康づくりの学習の場となるような役割も期待されています。 小、中、高校、特別支援学校では、児童・生徒が自らの健康について考え、健康に良い行動を選択する力をつけることが重要です。また、専門学校や大学等の教育機関にも、学生が自己の健康管理を行い、将来を見据えた健康づくりができるように働きかけていくことが求められています。 ・横浜市PTA連絡協議会 活動趣旨:横浜市立学校PTAで組織された保護者と教職員による社会教育関係団体です。「おとなも育とう、こどもと共に~つがなる想い 新しい時代へ~」をスローガンにして、こどもたちのためのPTA活動が、おとなを成長させて、こどもたちに還元されると考え活動しています。また、各学校の活動をつながりの価値を共有しながら推進していきたいと考えています。 イ 職域関係機関・団体 職場は、特に成人期・壮年期の市民が多くの時間を過ごす場であり、職場環境は個人の健康づくり行動に大きな影響を与えます。 職場管理者には従業員・職員の健康を担う意識を持ち、安全管理と健康増進活動を地域と連携して行うことが求められており、健康診断が受けやすくなるような支援や、体とこころの健康づくりを行いやすくするような職場環境づくりが期待されています。 ・神奈川産業保健総合支援センター 活動趣旨:独立行政法人労働者健康安全機構が運営する機関です。産業医、産業看護職、衛生管理者等の支援とともに、事業主等に対し、次のような職場の健康管理への啓発を行っています。 ①研修・相談対応:産業保健関係者を対象に、専門的かつ実践的な研修を実施しています。また、産業保健に関する様々な問題について、専門スタッフが窓口・電話・メールで相談に応じています。 ②メンタルへルス対策:専門スタッフが事業場に訪問しメンタルへルス対策の計画作成や管理監督者、若年労働者に対するメンタルへルス教育を行っています。 ③治療と仕事の両立支援:専門スタッフが事業場に訪問し両立支援制度の導入支援や企業との間の個別調整支援などを行っています。 ・横浜南労働基準監督署 活動趣旨:厚生労働省の神奈川労働局管下の行政機関です。労働者の皆様が安全で健康に働くことのできる環境づくりを目的として、長時間労働の抑制、労働条件の確保・改善、労働災害の防止、産業保健活動・メンタルヘルス対策の推進等の取組を行っています。 ウ 企業 横浜市では、民間企業のより主体的な参画を求め、社会的課題の解決を目指し、民間企業と行政の対話により連携を進め、相互の知恵とノウハウを結集して新たな価値を創出する「共創」の視点で、様々な分野での取組を進めています。 市民の健康づくりを支援する取組をより実行性のあるものにしていく上でも、行政と民間企業、民間企業間の連携をより一層深め、市民の健康意識の向上や健康行動をサポートすることが求められています。 例えば、小売業は、市民の食を支える重要な社会資源であり、日々の食生活に大きな影響を与えています。市民の誰もが健康への関心の有無にかかわらず、自分にあった健康的な食事を選択できるよう、市内のスーパーマーケットやコンビニエンスストア等には食環境づくりへの参画が期待されています。 また、行政と民間企業との連携には、情報が届きにくい方へ健康に関する行政サービスや地域資源に関する情報が届くことによる広がりも期待されています。 ・日本チェーンストア協会相鉄ローゼン株式会社 活動趣旨:チェーンストアの理念と事業活動を支援し、豊かでうるおいのある社会を実現するために活動する団体です。会員である当社は、神奈川県内を中心に展開する地域密着型の食品スーパーマーケットチェーンです。地域の皆様の豊かな食生活を応援することを使命とし、 「また行きたくなるスーパーマーケット」を目指した店づくりに取り組んでいます。 昨今の中食需要や健康志向の高まりを受け、お客様のニーズに応えられる豊富な品揃えや、こだわった原料や製法でつくる惣菜・ベーカリーの強化を図るなか、栄養バランスに配慮した商品の開発・販売を通じて横浜市が進める食環境づくりを推進しています。 ・JA横浜 活動趣旨:共有ビジョンである『みんながHAPPY!やるJAん横浜!』のもと、組合員と役職員が一丸となった事業運営を目指しています。その中で、組合員などに健康維持に対する意識向上を図ることを目的として、人間ドック・JA健診への受診助成支援活動や高齢者向けに元気で100歳まで「ゆとり」と「いきがい」のある暮らしを目指すため、『健康寿命100歳講座』・現役世代向けに『JA健康サポート教室』を開催しています。また、「認知症」について正しく理解していただき、認知症の方やその家族を応援していく『認知症サポーター養成講座』の開催など組合員の健康を守る活動を行っています。 ・一般社団法人横浜市食品衛生協会 活動趣旨:横浜市内で食品関係を営む事業者が、市民(消費者)に安全で安心のできる食品の提供を目指して、食品衛生思想の普及を目的とした団体です。飲食等に起因する食中毒、感染症その他の危害の発生を防止し、公衆衛生の増進を目的に活動しています。    エ 地域で活動する団体(委嘱団体、ボランティア団体) 地域における住民の主体的な取組を推進するためには、地域住民から構成される健康づくりに関わる団体の役割が重要です。 これらの団体には、それぞれの地域の健康課題やニーズを踏まえ、地域に密着した事業を主体的に行うことで、幅広く、継続的に地域の人々の健康を支えるための活動を行うことが期待されています。 ・横浜市保健活動推進員会 活動趣旨:市長から委嘱された約3,500人が自治会・町内会などの地域組織や区役所等と協力しながら、地域の健康づくりの支援をすることを目的としています。健康講座や健診の受診勧奨といった周囲への健康づくりの働きかけ、高齢者支援や子育て支援など、地域の実情にあわせた健康づくりに関する様々な活動をしています。 ・横浜市食生活等改善推進員協議会 活動趣旨:食を中心とした健康づくりを推進するボランティア団体です。「私たちの健康は 私たちの手で」を合言葉に自ら健康づくりを実践し、仲間や地域の人たちとふれあいを深めながら、栄養・運動・休養の調和のとれた食を中心とした健康づくり活動をしています。また、活動のために、研修等で自己研鑽し、健康づくりの担い手として意識を高めています。    オ マスメディア マスメディアには、不特定多数の人々を対象に大量の情報を正しく伝える役割があります。健康づくりに関する情報についても、科学的根拠に基づいた正確な健康情報をわかりやすく伝えることを通じて、社会全体の健康づくりの機運を高めることが期待されています。   ・株式会社神奈川新聞社 活動趣旨:神奈川の地方紙「神奈川新聞」を発行する新聞社で、あああ毎日発行する紙の新聞のみならず、ニュースサイト「カナロコ」などでも幅広い情報発信を行う総合メディア企業です。県内外に支社・総局を構えて自社の取材網を張り巡らし、行政・スポーツ・地域の身近な話題などを日々細かく取材し発信し続けています。神奈川の報道機関として、地域を見つめ、伝えるべきことを伝えることで、人々の「知る権利」に応えています。また、情報発信のみならず、「かながわ音楽コンクール」や「書家三十人展」などを主催したり、「神奈川文化賞・スポーツ賞」を県と共催したりすることで、地域文化の発展に貢献しています。 ・株式会社テレビ神奈川 活動趣旨:神奈川県唯一の地上波テレビ局です。報道や各種番組を通じて、健康に対する市民の関心を喚起し、必要な情報を伝えています。また、イベントを通して、市民・視聴者とじかに接して健康づくりの機運を高める活動をしています。    カ 保健医療関係団体 保健医療の専門家は、専門的な知識や技術を生かして市民の健康を支えています。 地域の医院や歯科医院、薬局等において、市民一人ひとりに応じた、健康に関する相談、健康情報の提供を通じた生活習慣病予防や重症化予防に加え、各団体が学校や地域・職域の様々な場面で健康づくりを支援していくことが期待されています。   ・一般社団法人横浜市医師会 活動趣旨:市民の皆様の健康と福祉を守るために、各種検診・予防接種・健康づくりに尽力しています。また桜木町・北部・南西部の3つの夜間急病センター、18区医師会により各区休日急患診療所の運営を行い、休日・夜間一次救急診療を担っています。さらに、医療機関情報を提供する「地域医療連携センター」の運営、聖灯看護専門学校の運営、学校医・保育園医の選任、生涯教育研修、超高齢社会を見据えた在宅医療、災害時には横浜市行政との協定に基づいて災害時医療を担う等々事業は多岐にわたります。 併せて市民広報誌「みんなの健康」、ラジオ放送「みんなの健康ラジオ」、市民公開講座の開催等により健康情報を発信しています。 ・一般社団法人横浜市歯科医師会 活動趣旨:歯科医師の団体です。よこはま保健医療プラン、健康横浜21、よこはま地域包括ケア計画、横浜市食育推進計画、横浜市障害者プラン、横浜市子ども・子育て支援事業計画等に参画し、全てのライフステージにおける「歯科健診の実施」「歯科口腔保健指導の実施」「かかりつけ歯科医の推進」「歯科口腔保健の啓発活動」を行い、歯科医療の質と向上に努め横浜市に暮らす全ての人々の生涯にわたり、歯と口の健康を守ることを通して生きる力を支え健康長寿よこはまの実現を目指しています。 ・一般社団法人横浜市薬剤師会 活動趣旨: 薬剤師の職能団体です。医薬品の適正使用を推進するため、薬物乱用防止キャンペーンでのオーバードーズの啓発、学校薬剤師による薬物乱用防止教室・禁煙教室や各区の横浜シニア大学での「お薬との上手な付き合い方」の講演活動をしています。市民の健康づくりを支援するため、セルフメディケーションの推進、薬草探索健康ウォーキングを行っています。「禁煙支援薬局」では、禁煙方法や禁煙補助剤の使い方、受動喫煙防止対策の推進を行っています。また、災害時の備えとして、災害時医薬品の備蓄やモバイルファーマシーの運用を行っています。 ・公益社団法人神奈川県栄養士会 活動趣旨:管理栄養士・栄養士で組織された職能団体です。保健、医療、福祉、教育の分野において、専門職種として栄養改善における学術、技術の資質向上を図り、県民の健康増進及び疾病の重症化予防の支援を行っています。食(栄養)を通して、すべての県民の健康づくり事業を推進しています。  ・公益財団法人横浜市スポーツ協会 活動趣旨:市民が生涯にわたって「する・みる・支える」といったスポーツ活動を楽しめるよう、「いつまでもスポーツが楽しめる明るく豊かな社会の実現」に向けて事業を推進しています。全ての市民の皆様が生涯にわたって、あらゆるスポーツ活動を楽しめる社会を実現するには、心身両面の健康保持が重要です。そのため、ライフステージに応じたスポーツ活動や健康づくりの取組を進めています。また、健康寿命の延伸に寄与することを目的に、身近な地域でのスポーツ・健康づくりができる環境を整備しています。 ・禁煙・受動喫煙防止活動を推進する神奈川会議 活動趣旨:神奈川県内の禁煙・受動喫煙防止活動を推進するため、医師・歯科医師・薬剤師・看護師の医療従事者を中心に約150名の会員で構成する団体です。世界禁煙デーに呼応して年1回の総会と県民を対象とした講演会を開催、各会員はそれぞれの地域において禁煙指導・喫煙防止教育や研修、イベント参加などを行うとともに、企業の禁煙・卒煙の取組サポートや学校での喫煙防止教育講演での講師派遣に協力しています。    キ 医療保険者・医療保険関係団体 医療保険者には、加入者やその扶養者に対する特定健診や特定保健指導の実施が義務付けられているなど、健康づくりに必要な事業を実施する役割があります。対象者一人ひとりが自らの健康状態を知ることができるように、健康診査の受診率向上に向けた取組を行い、生活習慣を改善するために必要な支援や、健康づくりに活用できる社会資源を紹介するなど、様々な活動を行っています。 医療保険関係団体には、これらの医療保険者の取組を支援し、充実させる役割があります。 ・全国健康保険協会神奈川支部 活動趣旨:健康保険法に基づき設立された医療保険者です。加入者(主に中小企業で働く方とそのご家族:全国約4,000万人)の健康保険事業を行い、加入者の健康の保持増進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるようにし、もって加入者の利益の実現を図ることを目的として、健康保険の給付や保健事業等を行っています。協会けんぽは47都道府県に支部を設置し、支部単位で地域の実情に応じた取組を行っています。神奈川支部(加入者数:約165万人)においても健診・保健指導の推進、「かながわ健康企業宣言」等を実施し、加入者の皆様の健康づくりに取り組んでいます。 ・神奈川県国民健康保険団体連合会 活動趣旨:本会では、国民健康保険及び後期高齢者医療被保険者への保健事業に対する支援を目的として次のような活動をしています。 ①特定健診受診率向上・特定保健指導実施率向上・生活習慣病重症化予防に向け、在宅保健師の派遣、保険者向け研修会、広報事業(ポスター・ラジオCМ・ポケットティッシュ等の作成及び配布)の実施をしています。 ②有識者で構成する「保健事業支援・評価委員会」によるデータヘルス計画への助言と策定支援及び個別保健事業の評価に対する助言の実施をしています。 ③横浜市が実施する「健康まつり」等の健康づくり事業に対し、在宅保健師の派遣や健康測定機器の貸出による支援の実施をしています。 ・健康保険組合連合会神奈川連合会 活動趣旨:神奈川県に所在する74の健康保険組合が加盟する連合会組織です。加盟組合の円滑な組合業務の遂行を支援することを目的に、各種事業を実施しています。 加盟組合の健康づくりの取組に対しても、特定健診・特定保健指導の実施率向上策の展開や、各種保健事業の提供等で支援しています。 (2)行政の役割 行政は、第3期計画を総合的に推進していくために、関係機関・団体との連携を図り、効果的な施策展開と進捗管理を行います。 各区福祉保健センターを地域の健康づくりの拠点として、全てのライフステージを対象に、市民の健康行動につながる啓発活動を行うとともに、第3期計画のスタートにあたっては、将来を見据えた健康づくりの強化、自然に健康になれる環境づくり、デジタル技術等の更なる活用、誰も取り残さない健康支援、地域人材の育成と活動支援等について、行政が中心となって関係機関・団体等と共に重点的な取組を開始していきます。 将来を見据えた健康づくりの強化: ・職場を通じた健康づくり ・女性の健康づくり応援 ・青年期からの意識啓発 ・健康を守る暮らしの備え 自然に健康になれる環境づくり: ・食環境づくり ・禁煙支援・受動喫煙防止 デジタル技術等の更なる活用: ・健康状態の見える化と行動変容の促進 誰も取り残さない健康支援: ・糖尿病等の重症化予防 ・健康格差を広げない取組 地域人材の育成/活動支援: ・地域のつながりで行う健康づくり また、地域の様々な関係機関・団体、民間事業者・大学等との連携を通じて、より実効性、継続性のある計画の推進につながる環境整備を行います。 市民の健康課題を明らかにするために必要な調査・分析等を行い、その結果は健康横浜21推進会議などを通じて関係機関・団体と情報共有し、課題解決のための取組に反映させていきます。